映画の中のサイン
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第2話 ブレードランナー
f0218826_10332570.jpg「映画の中の看板・・・」というと、すぐ思い浮かぶ光景がある。
フィリップ・K・ディックのSF小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』を映画化した「ブレードランナー」の始まりのシーンだ。

時は2019年、退廃的な近未来都市ロサンゼルス、高層ビル群のあちらこちらで炎が吹き上がる、その空中を飛行する車、薬品のニオイがしそうな酸性雨の中、水蒸気がたちこめる街には、巨大広告塔はじめ看板やネオンが氾濫している。それらには、様々な文字があり、多国籍な街らしさが出ているが、日本語もやたらと出てくる。
「強力ワカモト」の広告が流れる巨大広告塔は全面LEDディスプレィ。見通しの悪い、雨煙る夜の街に高輝度に光るLED画像は、異様な雰囲気をかもし出している。そして、宇宙開拓用の人造人間(レプリカント)狩りの使命をおった主人公デッカードが登場する。

未来の話でもありながら、生活臭さをかもしだす、この導入部は、映画を観る人をスムーズに物語の中へといざなうようだ。とくにこの主人公が屋台の寿司バーで麺を注文し、割り箸で食べるシーンが印象的だ。日本語の会話が雑踏音声的に聞こえるのがおもしろいし、広告の内容や音声や文字も何か「オカシイ」。広告映像の日本髪の女性が「いそにすむ~ちどり~♪」(古今和歌集の和歌)と謳っているとか、「コルフ月品」のネオンサイン(ゴルフ用品)やら、そこここに「オカシイ」サインが溢れている。また、「安くてうまい」「東京」「五十年」などの落書きが唐突に画面に現れる。これらは新宿歌舞伎町のイメージを重ね、異国情緒を表したようだが、「看板の氾濫」「無意味な情報の洪水」は、我々サイン業界に身をおく者としては考えさせられる。

昨今、デジタルサイネージが多くなり、ハード的な看板の氾濫は減少傾向にあるのかもしれないが、そのソフト面(コンテンツ)には、相変わらず「押し付けがましい情報の洪水」はないだろうか。テレビ広告をそのまま街角で流されると、とてもウルサク感じる。

デジタル時代だからこそ、なおさら「文字および音声・映像情報に依存しすぎるサインの氾濫」を避ける工夫、知恵が必要なのではないかと思う今日この頃である。



木村英昭(関東地区)



「ブレードランナー」(Blade Runner)
1982年アメリカ映画
監督 リドリー・スコット
脚本 ハンプトン・ファンチャー/デイヴィッド・ピープルズ
主演 ハリソン・フォード
音楽 ヴァンゲリス
1983年度ロサンゼルス映画批評家協会賞 最優秀撮影賞受
1983年度アカデミー賞 視覚効果賞・美術賞ノミネート

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by sda-cinema-p | 2010-03-08 10:30 | essey
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