映画の中のサイン
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第10話 the波乗りレストラン
波乗り、とくれば湘南、湘南とくればサザンオールスターズ。
そうです。このショートドラマに流れるのは、サザンオールスターズの選りすぐりの33の曲。33曲に乗って一話一話が完結しながら連続していきます。曲の題名がストーリーになっているのかといえば必ずしもそうではないのですが、通しで見るとひとつの湘南物語となっています。
サザンのハイなイメージに対してドラマは至ってスロウ。人生こんなに無駄していいのかな?という道草ストーリーともいえるでしょう。
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ドラマはこんなふうに始まります。
ある時どこからともなく一人の若い男が、海辺のボロボロの建物にやってきます。そこは茅ヶ崎、廃業した元レストランの店舗兼住居です。
男は建物をすこしずつ整え、をお店の看板として掲げます。土地柄サーファー目当てのレストランかと思いきや、否、実はサーフボードの看板はストーリーとしてはたいして重要な小道具ではありません。それよりこのドラマで注目すべきは、いつも扉にかかった手書きの「準備中」の札なのです。

頼りない「準備中」の貼り紙こそがこのドラマの上での大きな「サイン」です。
話はいよいよ始まるのかな、準備中のレストランはいつ開業するのかな、と見る者は期待しますが、結局店は開業しないまま最終話までたどりつきます。サクセスストーリーとは正反対のモラトリアムストーリー。
店主(大泉洋)を始め、やってくるお客(登場人物)すべてが人生の「準備中」なのです。
何かをどこかで決定しないまま人生の時間が過ぎていった人、あるいは突っ走ってきた人生の途中で一休みの人、などなど。しかし、誰ひとりとして憎めません。
そうした人たちをウエルカムではないけれど、なんとなく迎え入れてしまうのが、店主の人柄と言えましょう。店主は、波のように何でも包み込んで浄化してしまうような寛容さを秘めているのですが、実は彼自身も過去に傷を負っている・・・(ここがちょっとばかりドラマにはありがちな設定なのですが)
「準備中」だからこそ、何をしても許されるような店の居心地の良さは、所詮身の回りに起こるすべてのことは大騒ぎするほどのたいしたことではない、と思わせるような不思議な包容力をもっています。体ではなく心の傷を癒す湯治場のようです。
人生あくせくしても仕方がない。今日も、明日もずっと準備中でもいいのかも・・・。

おもしろいかおもしろくないか、感じ方はまさに今まで歩んできたその人の人生観しだい。
・・・ですので、決してお勧めはいたしません。



宮崎 桂(関東地区)




the波乗りレストラン(TVドラマ全33話 映画ではありません)

2008年
日テレ開局55年記念+サザンオールスターズ結成30周年記念のスペシャルTVドラマ。DVDあり。
脚本:大宮エリー
出演:大泉洋、布施博、富田靖子、西村雅彦、高橋ひとみ、松下由樹、白石美帆他
http://www.ntv.co.jp/naminori/
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by sda-cinema-p | 2010-05-06 14:15 | essey
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