映画の中のサイン
by sda-cinema-p
カテゴリ
information
essey
以前の記事
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
日本サインデザイン協会 SDA出版委員会では映画の中のサインについてのエッセイを広く募集中。
詳しくはこちら




その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
第11話 パニック・ルーム
 映画の中に出てくる「サイン」や「看板」といえば、すぐに思い浮かぶのは「ブレードランナー」に出てくる「強力わかもと」の電飾サイン(高層ビルの間を漂う感じの、飛行船みたいなやつもありましたね)や、「バグダッド・カフェ」の給水タンクのシーン、「ミリオンダラー・ホテル」のホテルの電飾サイン、あるいは「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊攻殻機動隊」に出てくる九龍城のような町並みなどですね。「攻殻」の続編ともいえる「イノセント」に出てくる北端の街のパレードのシーンも、躍動感があって見事な描写だったと記憶しています。

f0218826_13545110.jpg













 ほかにも印象的なシーンはあるのですが、今回は映画本編ではなく、「映画タイトル」の話をしたいと思います。デビッド・フィンチャー監督の「パニック・ルーム」です。
「映画タイトル」というのは、物語が始まる時に俳優やスタッフ等の字幕が次々と表示される一連の映像の事ですが、それぞれの作品ごとに独自の演出があって、僕は結構楽しみながら観ています。さて、「パニック・ルーム」のタイトルですが、ニューヨークの実際の高層ビル群のなかに俳優名などの文字が立体になって現れます。ある文字はビルの塔屋サインのように、ある文字はビルの壁を伝い中空に突き出すように。ある文字は広い通りをまたいで隣のビルにまたがって、現実のサインのように現れます。文字の質感や光沢とか、ビルとの距離の取り方とか、本物のチャンネル文字が宙に浮いているようです。最近のCGはどんどんよくなっていますね。(この作品は2002年の作品ですが)爆発のシーンや、人が変身するシーンだけでなく、本来あるはずのない物がそこにあるように、私たちに様々な可能性を見せてくれます。映画を見ながら、もし実際にこんな施工をしてくれる工務店があったなら何としても工事を依頼したい、などど、下らぬ事を考えてしまいました。肝心の本編のほうは、ヒッチコックやブライアン・デ・パルマなどを意識して作られたと思われるサスペンス調の作品で、それほど良い出来だとは思いませんでしたが、タイトルの出来は明らかに本編を上回っていますね。
 と、ここまでは褒めましたが、実はこのタイトルには、元になるネタがあるんです。ヒッチコック監督の「北北西に進路をとれ」がそれです。青一色の画面にケーリー・グラントなどの俳優の名前が斜めにパースがついた状態で次々と現れるのですが、やがて背景がビルの壁面に変化します。パースがついた高層ビルのカーテンウォールに俳優名が表示されていたわけです。監督のデビッド・フィンチャーは、映画のみならず、タイトル映像もヒッチコックファンだったのでしょうか。
 「北北西」のタイトルをデザインしたのはソール・バスという人です。元々著名なグラフィックデザイナーですが、映画のタイトルデザインを数多く手がけており、「映画タイトルを職業として確立した人物」といわれています。オットー・プレミンジャー監督の「黄金の腕」、ヒッチコック作品の「サイコ」「めまい」、リドリー・スコット監督の「エイリアン」(最初のやつです)などのタイトル映像を手がけています。この原稿を書くためにネットで調べたところ、何と、彼の手がけた映画タイトルや短編映像をおさめたDVDが見つかりました。タイトルは「ソール・バスの世界」。彼の制作した映画タイトルと、そのメーキング映像のほか、付属のブックレットには彼の手になる企業CIなどが収められているようです。AMAZONで見つけました。出版元はよくわかりませんでした。海外でしょうか。¥3,900です。興味のある方は、一度ご覧になってみてはいかがでしょうか。


村山和彦(非会員)





作品:パニック・ルーム
配給:米パラマウント作品(ソニー・ピクチャーズ) 2002年公開
監督:デビッド・フィンチャー
出演:ジョディー・フォスター
   フォレスト・ウィテカー
   ジャレッド・レト 他
[PR]
by sda-cinema-p | 2010-05-17 13:33 | essey
<< 第12話 ロスト・イン・トラン... 第10話 the波乗りレストラン >>