映画の中のサイン
by sda-cinema-p
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第14話 ラストエンペラー
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サインを記号として捉えた場合、わたしが印象に特に残っている映画はベルトリッチ監督の「ラストエンペラー」です。中国で最後の皇帝(エンペラー)の一生を描いた物語で、中国の最高権威であった始皇帝が世界大戦や日本の植民地化、文化大革命などを得て、晩年には一清掃夫として人生を終える実話を描いた映画です。その中で一番気になったのはラストエンペラーが晩年、大衆の世界で生きていくとき、番号をつけた服を着ているシーンでした。かつてエンペラーであった主人公は「名前」=「象徴」で呼ばれていましたが、数をつけられることで、マスのなかの一人になり、ただの人になったことが象徴的に描かれておりました。数字や記号を用いることで、代替不可能な個人の存在が、一個の凡庸な存在になってしまうことが表現され、名前や記号、数字を日々扱うサインデザイナーである私にとって、とても印象に残りました。中国で行われた文化大革命では偶像崇拝を禁止し、社会主義の名のもと、市民は人民服に一人一人が人民服に身を包み、個性が消えた時期がありました。それでも人間はどうしても神や国王を求めてしまうようです。現在、紫禁城の前にはエンペラーの代わりに毛沢東の写真が掲げられて、象徴として人民を統治しております。映画のラストシーンで、主人公がかつて慣れ住んだ紫禁城に行き、入口で入場料を支払います。貨幣を支払う=数値化されたことが象徴的に表現されたシーンで映画の幕は閉じます。




八島紀明(関東地区)



作品:ラストエンペラー(第60回アカデミー賞 作品賞)
配給:コロンビア映画 1987年公開
監督:ベルナルド・ベルトリッチ
出演:ショーン・ローン
   ジョアン・チェン
   ピーター・オトゥール
   坂本龍一
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by sda-cinema-p | 2010-06-17 22:51 | essey
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