映画の中のサイン
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第18話 バグダッド カフェ
「バグダッド・カフェ」といえば給水タンク、給水タンクといえば「バグダッド・カフェ」を思い浮かべるくらい、パーシー・アドロン監督のこの作品で、給水タンクは見る者に「バグダッド・カフェ」のビジュアルイメージを植え付けた。

ところはアメリカ、ラスベガスに近いモハーベ砂漠。ハイウェイ沿いに一軒のカフェ(モーテル、ガソリンスタンドも兼業)がある。
その名は「バグダッド・カフェ」
ギスギスした黒人の女主人ブレンダはいつもイライラしている。周りの者があまりにもやる気がないからだ。
しかし、「バグダッド・カフェ」は成りたっている。砂漠の中で競合相手がないという理由で。
そんなさびれかけのカフェに、ある時謎のドイツ人が一人で荷物を引き引きやって来る。
彼女の名はジャスミン。アメリカを旅行中、夫と喧嘩したあげく、砂漠の中でひとりになった。物語はここから始まる。
ジャスミンは「バグダッド・カフェ」のモーテルに泊まり、やがて根が生えたように居着いてしまう。崩壊寸前の店を放ってはおけなかった、というより彼女はもともと勤勉なたちなので、自分の居所をキレイにしたかったのだ。
カフェの事務所を始め、そこいら中を掃除しまくる彼女だが、その最たるターゲットが敷地の中にある大きな給水タンクだ。ジャスミンは梯子までかけて給水タンクをモップで磨き上げる。
この印象的なシーンは映画のスチールとなり、また大ヒットした主題歌“Calling You”を含むサントラ盤アルバムのジャケットにもなっている。
話は逸れるが、このテーマ曲“Calling You”は映画よりずっとヒットした。砂漠の中、ゆらゆら立ちのぼるかげろうとともに流れるハーモニカのメロディーは、原題「遙かローゼンハイムを離れて」にぴったりと、郷愁を誘う。
そして、室内に漂う繊細なグノーのアベ・マリアのピアノもいい。良き映画に良い音楽は付きもの、とはこのことだろう。

f0218826_16415552.jpgところで、給水タンクだが、真っ青な空と対比するように黄色くペイントされ“BAGDAD CAFÉ”の大きな文字がアウトラインで描かれている。
この映画は砂漠を背景としているせいか、給水タンクに限らず、砂に転がるさまざまなモノがオブジェとしてチャーミングな効き味を出しているのだが、その中で一段と存在感のあるでっぷりした形のタンクは、まさに主人公ジャスミンのふくよかな姿と重なる。
よくよく映像を追っていくと、重要な場面の端々にタンクがおさまり、ただの小道具ではないことがわかるのだ。

「バグダッド・カフェ」における給水タンクとは何か?
カサカサに乾いた女主人ブレンダの心を癒し、風化しそうなカフェやそこに居座る住人の心を潤し、砂漠を行き来する退屈なドライバーたちの心を満たしたのは、ジャスミン、そして彼女の行動に他ならない。
給水タンクは、人々が渇望していたものの象徴であるとともに、それをもたらした「すばらしいドイツ人」を表す“サイン”なのであった。




宮崎 桂(関東地区)


バグダッド・カフェ
1987年 
西ドイツ映画
監督:パーシー・アドロン(ミュンヘン出身)
原題:Out of Rosenheim
アメリカ版、日本版の題名:BAGDAD CAFÉ

*ドイツ人監督パーシー・アドロンがつくった「バグダッド・カフェ」は、ドイツとアメリカという視点で見るとおもしろいです。たとえば・・・
・なぜ主人公ジャスミンはドイツ人なのか?きれい好きで勤勉なドイツ人がカフェを救った。
・それに比べアメリカ人はやる気がない。カフェの黒人女主人を始め役者崩れの絵描きや入れ墨師女 などのアメリカ人の人種と描き方。
・ギスギスの女主人とふくよかなジャスミンの対比。余裕が違うことを見せた。
・ドイツとアメリカのコーヒーの違い。
・アメリカのコーヒーマシーンはすぐ壊れるが、ドイツ製ポットはどこまでも優秀だ。
・グノーのアベ・マリアは、もとは偉大なドイツの作曲家バッハの平均率クラビア第1番である。
・ご当地ラスベガスのショーよりジャスミンのマジックショーの方が人気だ。あえてショービジネス の本場でドイツ人にマジックをさせた。
・ドイツ人は友情に厚く、人を裏切らない。(ジャスミンはバグダッド・カフェに戻ってきた)
などなど、おそらく「ジャスミン」という名前も「バグダッド」も何か隠された意味があると思います。
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by sda-cinema-p | 2010-07-22 16:49 | essey
第17話 トランスフォーマー リベンジ
映画の中のサインと言えば、ネオンサインでしょ。LEDも良いけれど西部劇での居酒屋や中華街でのネオンサインの醸し出す雰囲気は何とも言えないものがあります。 荒くれ者が一杯やってる背景にネオンサイン。最高の雰囲気ですね。 ネオンサインがセットに使われている映画は枚挙に暇はないのですが、最近観た「トランスフォーマー リベンジ」も作品冒頭の上海工場はメーキングによればペンシンバニア州ベスレヘムの今は使われていない工場なのですが、漢字表記のネオンサインが中国上海だなと思わせる役割を十分に果たしています。このサインが無ければ多分中国の工場だぞという設定も分からなくなってしまう。そういう映像効果がありますね。しかもネオン文字だから雰囲気もバッチリ。 ネオンサインに限らず、映画の中でのサインの役割は観る人が気づいてないけど、今観ている場所が何処だよという効果を担っているんですね。やはりサインの力はすごいです。



前田英幸(九州地区)



題名 TRANSFORMERS REVENGE OF THE FALLEN
製作年2009年 アメリカ
マイケル・ベイ監督 
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by sda-cinema-p | 2010-07-21 20:27 | essey